イモビライザーのスペアキーは作成可能?費用や注意点を解説します

イモビライザーのスペアキー作成は可能!ただし「合鍵」とは仕組みが違う

「車の鍵を失くしてしまったら困るから、あらかじめスペアキーを作っておきたい」と考えるのは、ドライバーとして非常に賢明な判断です。しかし、近年の自動車の多くに採用されている「イモビライザー」搭載車の場合、昔ながらのホームセンターや町の合鍵屋さんで数百円から千円程度で作れた「合鍵」とは、その仕組みも作成難易度も根本から異なります。
結論から申し上げますと、イモビライザー付きのスペアキーを作成することは間違いなく可能です。しかし、それは単に金属部分を削る作業(キーカット)だけではなく、車のコンピューターと鍵を通信させるための「電子的な登録作業」が不可欠となります。この仕組みを正しく理解していないと、「せっかく合鍵を作ったのに、ドアは開くがエンジンがかからない」というトラブルに見舞われることになります。
本セクションでは、イモビライザーのスペアキー作成に取り掛かる前に必ず知っておくべき、その仕組みや通常の鍵との違いについて、2026年現在の最新状況を踏まえて詳しく解説します。
電子認証システム「イモビライザー」の基礎知識
イモビライザー(Immobilizer)とは、一言で言えば「電子的な照合による盗難防止システム」です。その語源は英語の「Immobilize(動かなくさせる)」からきています。
1990年代に欧州車から普及が始まり、現在では日本国内の軽自動車を含むほぼすべての新型車に標準装備されています。このシステムが導入される以前の車は、鍵の形状さえ一致すればエンジンを始動させることができました。そのため、特殊な工具で鍵穴を強引に回したり、配線を直結させたりする手口による車両盗難が多発していました。
イモビライザーは、これらの物理的な不正操作を無効化するために開発されました。具体的な仕組みは以下の通りです。
- トランスポンダICチップの搭載:車の鍵(持ち手部分やリモコン内部)には、「トランスポンダ」と呼ばれる極小のICチップが埋め込まれています。
- 固有のIDコード:このチップには、世界に一つしかない固有の暗号化されたIDコードが記録されています。
- 車両側との通信:鍵をイグニッションに差し込んだ際、あるいはスマートキーを車内に持ち込んだ際、車両側の受信機(アンテナコイル)が磁界を発生させ、鍵側のチップと電磁誘導によって通信を行います。
- IDコードの照合:車両側のコンピューター(ECU)が、鍵から送られてきたIDコードと、あらかじめ車両に登録されているコードを照合します。
- 始動許可:コードが一致した場合のみ、燃料噴射装置や点火装置の作動を許可し、エンジンを始動させます。
このように、イモビライザーは「物理的な形」と「電子的な暗号」の二重のロックで車を守っているのです。そのため、スペアキーを作る際も、このチップの情報を車に認識させるプロセスが最も重要となります。
物理的なカットだけではエンジンがかからない理由
なぜ「近所の合鍵屋さんで削ってもらった鍵」では不十分なのでしょうか。その理由は、前述した電子認証プロセスにあります。
イモビライザー非搭載の古い車であれば、鍵の金属部分の溝(ウェーブ)や山を正確にコピーすれば、その鍵を使ってシリンダーを物理的に回転させ、セルモーターを回してエンジンをかけることができました。しかし、イモビライザー搭載車の場合、物理的なキーカットだけでは「ドアの開錠」までしかできません。
もし、チップが未登録の(あるいはチップが入っていない)合鍵をイグニッションに差し込んで回すと、以下のような挙動になります。
- セルモーター(キュルキュルという音)は回るが、一向にエンジンが点火しない。
- 一瞬エンジンがかかるが、すぐに停止する。
- インパネ内の「セキュリティランプ(鍵のマークや車を模したアイコン)」が点滅したままになる。
これは車両側のコンピューターが「正しいIDを持たない不審な鍵による操作」と判断し、強制的に燃料をカットしている状態です。つまり、イモビライザー付きのスペアキー作成とは、「精密な金属加工」と「高度なプログラミング作業」の両方を行うことを指します。
近年では、鍵の形状そのものが複雑な「内溝キー(ウェーブキー)」が主流になっており、物理的なカット自体も専用のコンピューターマシンが必要な高難易度の作業となっています。これに電子登録が加わるため、作成には専門的な機材と知識が不可欠なのです。
参考記事:イモビライザーのスペアキーは作れる?依頼箇所・費用・注意点まとめ
自分の車にイモビライザーがついているか確認する3つの方法

スペアキーを作ろうと考えた際、まず自分の車にイモビライザーが搭載されているかを確認する必要があります。車種や年式によって標準装備かどうかが分かれるため、以下の3つのポイントをチェックしてみてください。
1.インジケーターランプ(セキュリティアラーム)を確認する最も確実な方法は、停車中のダッシュボードやメーターパネル付近を確認することです。車をロックしてエンジンを切っている間に、赤色のLEDランプが点滅していたり、鍵の中に車のシルエットが描かれたアイコンが光っていたりすれば、それはイモビライザーが作動している証拠です。
2.窓ガラスのステッカーを確認する運転席や助手席のサイドガラスに、鍵のマークとともに「IMMOBILIZER」や「SECURITYSYSTEM」と書かれたステッカーが貼られている場合があります。これは盗難抑止効果を狙ったもので、搭載車であることを示す分かりやすいサインです。
3.車種と年式から検索する2026年現在の基準では、2010年以降に発売された普通乗用車のほとんど、および2015年以降の軽自動車の多くに標準装備されています。特に「スマートキー(プッシュスタート式)」の車であれば、100%イモビライザーが搭載されていると考えて間違いありません。
もし自分の車がどちらか判断がつかない場合は、車検証を用意した上でディーラーや専門の鍵業者に問い合わせるのが一番確実です。
【2026年最新】イモビライザーのスペアキー作成費用と納期

イモビライザー付きのスペアキーを作成する際、最も気になるのが「一体いくらかかるのか」という点でしょう。かつての合鍵が数百円から数千円で作れた時代とは異なり、現代のイモビライザーキーは「精密な電子部品」としての側面が強いため、費用は数万円単位になることが一般的です。
2026年現在、半導体不足の緩和や技術の普及により、一部の価格は安定傾向にありますが、依然として輸入車や最新の高度な暗号化システムを採用している車種では高額な費用が発生します。ここでは、依頼先による費用の違いや、車種・鍵のタイプ別の相場を詳しく解説します。
依頼先別の費用相場・納期・特徴の比較表
まずは、主要な依頼先である「正規ディーラー」と「鍵専門店(出張鍵屋)」の比較をまとめました。自分の状況に合わせてどちらに依頼すべきか検討する材料にしてください。
ディーラーは「純正品という安心感」が最大のメリットですが、本国や国内倉庫からの部品取り寄せになるため、どうしても数日の時間がかかります。一方、鍵専門店は現場でIDを書き換える技術を持っているため、その日のうちに新しい鍵を手にすることができるのが強みです。
国産車vs外車(輸入車)の価格差と難易度
イモビライザーのシステムはメーカーごとに異なり、それによって作成費用も大きく変動します。特に国産車と輸入車の間には、大きな「価格の壁」が存在します。
国産車の場合
トヨタ、日産、ホンダなどの国内メーカーの多くは、共通のシステムや比較的解析が進んでいるチップを使用していることが多く、スペアキー1本あたりの作成費用は15,000円〜30,000円程度に収まることが一般的です。ただし、最新のアルファードやレクサスなどの高級車に採用されている、リレーアタック対策済みの最新チップ(CANインベーダー対策済み車両など)の場合、作成難易度が跳ね上がり、50,000円を超えるケースも出てきています。
輸入車(外車)の場合
メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなどの欧州車は、セキュリティレベルが非常に高く設定されています。
- 費用の目安:30,000円〜100,000円以上
- 難易度の理由:サーバーを介したオンライン認証が必要な場合や、車体側のコンピューターを脱着してデータを読み出す必要があるためです。
特に2020年以降の最新モデルについては、ディーラー以外でのスペア作成が物理的に不可能な車種も存在するため、外車オーナーはまずディーラーに見積もりを取るのが定石となります。
鍵のタイプ別(スマートキー・キーレスキー・刻みキー)の料金目安

「どのような形状の鍵か」も、費用の内訳に大きく関わります。2026年現在、主流となっているのは以下の3つのタイプです。
1.スマートキー(プッシュスタート式)
ポケットに入れているだけでエンジンがかかるタイプです。
- 相場:25,000円〜50,000円
- 内訳:スマートキー本体代(高額な基板が含まれる)+メカニカルキーのカット代+イモビライザー登録料。
2.キーレスキー(ボタン付きのリモコン一体型)
鍵を差し込んで回すタイプですが、持ち手にボタンがついているものです。
- 相場:15,000円〜30,000円
- 内訳:リモコンキー本体代+キーカット代+登録料。
3.差し込み式イモビライザーキー(リモコンなし)
見た目は普通の鍵ですが、持ち手部分にICチップが内蔵されています。
- 相場:12,000円〜20,000円
- 内訳:チップ内蔵ブランクキー代+キーカット代+登録料。
鍵を「全部なくした」場合の作成費用は跳ね上がる
今回は「スペアキー(合鍵)」の作成を前提としていますが、もし手元に1本も鍵がない「全紛失」の状態から鍵を作ろうとすると、費用は2倍〜5倍に跳ね上がります。
- ディーラーの場合:車両のコンピューター(ECU)そのものを新品に交換しなければならない車種があり、その場合は部品代と工賃だけで15万円〜30万円かかることも珍しくありません。
- 鍵屋の場合:鍵穴からの段差読み取り(鍵の作製)と、コンピューターのデータ初期化・再登録作業という特殊技術が必要なため、最低でも5万円〜10万円程度の出費を覚悟する必要があります。
「まだ1本あるから大丈夫」と先延ばしにするのではなく、1本ある今のうちにスペアを作っておくことが、将来的な数十万円の損失を防ぐ最も有効なリスク管理となります。
参考記事:イモビライザー付き車のスペアキー作成は高い?費用と依頼先の違いを比較!
どこに頼むのが正解?3つの依頼先を徹底比較

イモビライザーのスペアキーを作成しようと考えた際、候補となる窓口は大きく分けて「ディーラー」「鍵専門店」「カー用品店」の3つがあります。かつての単純な合鍵であれば、迷わず近所のホームセンターへ駆け込めば済みましたが、電子認証が絡む現代の車選びにおいては、それぞれの依頼先の「得意・不得意」を正しく理解しておくことが、結果として時間と費用の節約に繋がります。
2026年現在のサービス状況を踏まえ、それぞれの依頼先がどのようなユーザーに向いているのか、具体的なメリットとデメリットを詳しく比較・解説します。
安心と信頼の「正規ディーラー」|メリット・デメリット
最も多くのユーザーが最初に思い浮かべるのが、車を購入した、あるいは最寄りの正規ディーラーでしょう。
メリット
- 完璧な品質と純正品保証:使用されるのは、その車に適合する100%純正のスマートキーやリモコンキーです。電波の強度やボタンの操作感、耐久性において不安が一切ありません。
- 確実な登録作業:メーカー専用の診断機(OBD2コネクタに接続するデバイス)を使用するため、システムの書き換えミスによる不具合のリスクが極めて低いです。
- 車全体のメンテナンス相談が可能:スペアキー作成だけでなく、ついでに電池交換や最新のセキュリティアップデートの有無などを確認してもらえる安心感があります。
デメリット
- 納期が長い:多くのディーラーでは、店舗に各車種の「鍵の在庫」を抱えていません。車検証の情報をもとにメーカーへ発注し、工場でカットされた鍵が届くのを待つため、手元に届くまでに通常1週間〜10日、海外生産モデルの場合は2週間以上かかることもあります。
- 柔軟な対応が難しい:「中古のスマートキーを持ち込んで安く登録してほしい」といった要望は、多くのディーラーでセキュリティ規約や故障時の責任の観点から断られるケースがほとんどです。
- 来店の手間:原則として車を店舗に持ち込む必要があるため、忙しい方にはハードルが高い場合があります。
即日対応とコスト重視の「鍵専門店(出張鍵屋)」|メリット・デメリット
「今日中に予備の鍵を手に入れたい」「ディーラーの見積もりが高すぎた」という方の強い味方になるのが、イモビライザー対応を掲げる鍵の専門店です。
メリット
- 驚異的なスピード:最大の魅力は「即日作成」です。在庫を持っていれば、その場でキーカットからコンピューター登録まで完了し、最短30分〜1時間程度でスペアキーが完成します。
- 出張サービスの利便性:多くの業者が自宅や駐車場まで出張してくれます。わざわざ車を運転して店舗へ行く必要がなく、時間を有効活用できます。
- コストパフォーマンス:純正品と同等の性能を持つ「OEM品」や「汎用キー」を使用することで、ディーラーよりも数千円〜1万円程度安く抑えられる場合があります。
- 全紛失への対応力:スペアキー作成だけでなく、万が一鍵をすべて失くした場合の復旧作業も行えるため、緊急時のノウハウが非常に豊富です。
デメリット
- 業者選びの難しさ:鍵屋の中にはイモビライザーに対応していない店舗も多く、また価格設定が不透明な「悪質業者」もゼロではありません。事前に電話で「総額の見積もり」を確認することが必須です。
- 最新車種への対応制限:発売されたばかりの新車や、超高級輸入車(フェラーリやランボルギーニ、最新のメルセデスなど)は、専用の解析機がまだ普及しておらず、対応不可と言われるケースがあります。
オートバックス等の「カー用品店」や「ホームセンター」での対応可否
「買い物ついでにサクッと作りたい」と考える方も多いですが、残念ながら現状ではハードルが最も高い選択肢です。
現状の対応状況
- 多くの店舗では「不可」:一般的なホームセンターのサービスカウンターで行っているのは「物理的なコピー」のみです。チップの登録機を備えていないため、イモビライザー付きと分かった時点で断られるのが通例です。
- 大型カー用品店のケース:オートバックスやイエローハットなどの大型店舗では、一部の車種(主に国産車の古いモデルやダイハツ・スズキの一部など)に限り、汎用的なイモビライザーコピー機で対応可能な場合があります。
- 外注対応:店舗が受け付け、提携している鍵業者に依頼する形式をとっている場合もありますが、その場合は仲介手数料が発生するため、自分で鍵屋に直接頼むより高くなる傾向があります。
結論として、「1円でも安く、かつ即日で作りたいなら信頼できる鍵専門店」、「時間がかかってもいいから、100%の安心と保証が欲しいなら正規ディーラー」という使い分けが最も賢い選択と言えるでしょう。
スペアキー作成に必要な持ち物と手続きの流れ

イモビライザーのスペアキー作成は、単なる「合鍵の複製」ではなく、車両のセキュリティシステムへのアクセスを伴う公的な作業に近い側面があります。そのため、ふらりと店舗を訪れても、必要な書類やアイテムが揃っていなければ作業を断られてしまうケースが少なくありません。
二度手間を防ぎ、スムーズに新しい鍵を手に入れるために、準備すべき持ち物と、依頼先ごとの具体的な手続きの流れを2026年現在の標準的なフローに沿って解説します。
準備すべき4つのアイテム(車検証・免許証・現物キー・キーナンバー)
依頼先がどこであれ、防犯上の観点から「正当な所有者であることの証明」が厳格に求められます。以下の4点は必ず事前に手元に揃えておきましょう。
- 車検証(自動車検査証)車両の特定(初度登録年月、型式、車台番号)に不可欠です。イモビライザーのチップの型番や、スマートキーの周波数は車台番号から割り出されるため、必須の書類です。
- 運転免許証(本人確認書類)「車検証の所有者・使用者」と「依頼者」が一致しているかを確認するために提示を求められます。もし家族名義やローン会社名義の場合は、委任状が必要になるケースもあるため、事前に電話で確認しておくと安心です。
- 現在使用している「有効な鍵」(現物キー)スペアキーを作るためには、現在正常に動作しているマスターキー(またはメインキー)が必要です。これを「元鍵」としてデータをクローンしたり、新しいIDを追加登録するための「認証キー」として使用したりします。
- キーナンバープレート(もしあれば)新車購入時に鍵と一緒に渡される、小さな金属製のプレートに刻印された4〜5桁の数字です。これがあれば、鍵穴を覗かなくても正確なキーカットが可能になります。紛失していても作成は可能ですが、あれば作業がより確実かつ迅速になります。
ディーラーに依頼する場合の手順と日数
ディーラーでの手続きは、正確性を期すために事務的なステップを積み重ねる流れとなります。
- ステップ1:電話予約と在庫確認いきなり来店しても担当者が不在であったり、部品の適合確認ができなかったりするため、まずは電話で「車種・年式・スペアキーの種類」を伝えて予約を取ります。
- ステップ2:来店・見積もり・発注店舗へ車を持ち込み、書類を提示します。代金を先払い、あるいは内金を入れた時点でメーカーへの正式発注となります。
- ステップ3:部品の到着を待つ(約1〜2週間)メーカーの工場でキーカットとチップの書き込みが行われた完成品が届くのを待ちます。
- ステップ4:車両持ち込みと再登録作業部品が店舗に届いたら再度車を持ち込みます。工場で作成された鍵を、実車と通信させて「最終的なペアリング(同期)」を行います。この作業には30分〜1時間程度かかります。
鍵専門業者がその場で登録作業を行う際の流れ
鍵専門店、特に出張対応の業者の場合は、驚くほどスピーディーに完了します。
- ステップ1:問い合わせと概算見積もり電話やLINEなどで車種情報を伝えます。良心的な業者であれば、この時点で「総額」を提示してくれます。
- ステップ2:現場到着・本人確認作業員が指定の場所(自宅や外出先)に到着後、車検証と免許証で本人確認を行います。
- ステップ3:キーカット作業車載の専用マシンを使い、その場でブランクキー(溝を掘る前の鍵)を削ります。
- ステップ4:イモビライザー登録(OBD2接続)車の運転席下などにある「OBD2コネクタ(診断用ポート)」に専用デバイスを接続し、車両のコンピューターに直接アクセスして新しい鍵のIDを書き込みます。
- ステップ5:動作確認と支払いドアの開閉、エンジンの始動、リモコンボタンの反応をユーザー立ち会いのもと確認し、その場で決済して完了です。全工程で最短30分〜1時間程度です。
参考記事:【最新】イモビライザー|仕組み・スペアキー・防犯・紛失時の対応
知っておかないと損をする!スペアキー作成時の注意点

イモビライザーのスペアキー作成は、単に「同じ形の鍵を増やす」という作業以上にデリケートなプロセスを伴います。安易な判断で作業を進めてしまうと、余計な費用がかかったり、最悪の場合は車両のコンピューターに不具合が生じたりするリスクもあります。
2026年現在の最新の車両セキュリティ事情を踏まえ、作成前に必ず押さえておきたい4つの重要な注意点を詳しく解説します。
「マスターキー」がないと追加登録ができない車種がある
すべての鍵が同じ権限を持っているわけではありません。特に少し古い年式の国産車(トヨタ車など)において顕著ですが、鍵には「マスターキー(主鍵)」と「サブキー(副鍵)」の区別が存在する場合があります。
- マスターキーとは:車両のコンピューターに対して「新しい鍵を追加する権限」を持っている鍵です。
- サブキーとは:エンジンの始動やドアの開閉は可能ですが、セキュリティ設定の変更や新しい鍵の登録を許可しない制限付きの鍵です。
もし、中古車で購入した際に「サブキー」しか渡されていなかった場合、ディーラーで新しいスペアキーを作ろうとしても、コンピューターの書き換えを拒否されてしまうことがあります。この場合、コンピューター自体を交換するか、特殊な機材を持つ鍵専門店でデータを強制的に上書き(リセット)する必要があり、通常の数倍の費用がかかる可能性があるため注意が必要です。
ネットで買った「中古スマートキー」の持ち込み登録は可能か?
少しでも安く済ませようと、フリマアプリやネットオークションで同じ車種の中古スマートキーを入手し、登録だけを依頼したいというニーズは非常に多いです。しかし、これには高いハードルが存在します。
- ディーラーの対応:ほとんどのディーラーでは、セキュリティ上の理由と動作保証ができないことから、中古品の持ち込み登録を断っています。
- 初期化の必要性:スマートキーは一度車両に登録されると、その車専用のロックがかかります。中古品を別の車に登録するには、専用の機材で「初期化(バージン化)」という作業を行う必要があります。
- 鍵専門店の対応:一部の高度な技術を持つ鍵専門店では、中古品の初期化と再登録を引き受けてくれる場合があります。ただし、持ち込み料が発生したり、万が一登録できなかった場合も作業料だけは請求されたりすることがあるため、事前に十分な確認が必要です。
登録上限数(最大4〜8本など)に注意
車のコンピューターには、同時に登録できる鍵の本数に上限が設定されています。一般的な乗用車であれば「最大4本まで」や「最大8本まで」といった制限があります。
「そんなにたくさん作らないから大丈夫」と思われがちですが、中古車の場合、前のオーナーが紛失した鍵や、返却しなかったスペアキーがコンピューター内に「有効な鍵」として残っていることがあります。上限に達している場合は、既存の登録データを一度削除して空き枠を作らなければ、新しいスペアキーを登録することができません。登録作業時に「これ以上登録できません」と言われないよう、現在の登録本数を把握しておくことが重要です。
格安の海外製コピー品(ブランクキー)に潜む故障リスク
ECサイトなどで、純正品の数分の一の価格で販売されている海外製の「互換スマートキー」や「ブランクキー」には細心の注意が必要です。
- 電波法の問題:リモコンキーやスマートキーは電波を発するため、日本国内では「技適マーク」がついている必要があります。安価な海外製品にはこれがなく、使用すると電波法違反に問われるリスクがあります。
- 精度の低さ:ICチップの品質が安定しておらず、登録から数ヶ月で突然エンジンがかからなくなる、あるいはイモビライザーシステムそのものをフリーズさせてしまうといったトラブル報告が絶えません。
- 物理的な精度の問題:鍵の金属部分の材質が硬すぎたり柔らかすぎたりして、シリンダー(鍵穴)側を傷めてしまうこともあります。
スペアキーは万が一の際の「命綱」です。数千円を惜しんで信頼性を損なうよりは、純正品または信頼できる業者が推奨する高品質なパーツを選ぶべきです。
参考記事:イモビライザーとは?仕組みや見分け方・スペアキーについて
イモビライザーのスペアキー作成でよくある質問

イモビライザー付きの鍵は、従来の金属キーとは異なり電子的な認証が関わるため、ユーザーから寄せられる疑問も多岐にわたります。ここでは、実際にスペアキー作成を検討している方が抱きやすい不安や疑問について、2026年現在の最新状況を踏まえてQ&A形式で回答します。
Q.スペアが1本もない「全紛失」の状態からでも作れますか?
A.はい、作成可能です。ただし、作業の難易度と費用が大きく変わります。
手元に1本も鍵がない状態は、業界では「全紛失(フルロスト)」と呼ばれます。この状態からスペアを作成する場合、以下の2つのルートがあります。
- ディーラーに依頼する場合:車両のコンピューター(ECU)を新品に交換する必要がある車種が多く、費用は15万円〜30万円、納期は1〜2週間かかるのが一般的です。さらに、車を店舗までレッカー移動させる費用も発生します。
- 出張鍵屋に依頼する場合:車両のコンピューターに特殊な機材を接続し、残っているデータを初期化して新しい鍵を再登録します。レッカー移動は不要で、その場で1〜2時間程度でエンジンがかかる状態に復旧できます。費用は5万円〜10万円程度が相場です。
「全紛失」になると精神的・経済的なダメージが非常に大きいため、1本でも鍵があるうちにスペアを作っておくことを強くおすすめします。
Q.予算を1万円以下に抑える方法はありますか?
A.2026年現在、イモビライザー搭載車で1万円を切るのは非常に難しいのが実情です。
イモビライザーキーには「トランスポンダチップ」という高価な部品が含まれており、さらに車両への登録工賃(プログラミング料)が発生するためです。少しでも安く抑えるための現実的なラインは以下の通りです。
- リモコン機能を省く:ドアの開閉ボタンがない、エンジン始動専用の「サブキー(チップ内蔵のメカニカルキー)」であれば、ディーラーや一部の鍵屋で12,000円〜15,000円程度で作れる場合があります。
- キーナンバーを持参する:鍵番号がわかっていれば、鍵穴からの段差読み取り工賃(数千円程度)を節約できることがあります。
かつての数百円で作れた「合鍵」のイメージでいると予算オーバーになりやすいため、最低でも1.5万円〜2万円程度は見込んでおくのが無難です。
Q.遠方の業者に郵送で作ってもらうことはできますか?
A.基本的には不可能です。実車と鍵を直接通信させる必要があるためです。
イモビライザーの登録作業は、専用の診断機を「車の通信ポート(OBD2)」に接続し、車体側のコンピューターと鍵のチップをペアリングさせる工程を含みます。そのため、以下のような制約があります。
- 車両の持ち込み(または出張)が必須:鍵だけを郵送しても、車体側のコンピューターを操作できないため、登録作業を完了させることができません。
- 例外的なケース:一部の非常に特殊な業者では、車両のコンピューターユニット(ECU)自体を外して郵送すれば登録できる場合もありますが、脱着の手間やリスクを考えると一般的ではありません。
必ず「車がある場所」で作業を行えるディーラー、または出張鍵屋に依頼するようにしましょう。
Q.中古車で購入したのですが、前オーナーの鍵を無効化できますか?
A.はい、可能です。新しい鍵を登録する際に、既存のデータをリセットできます。
「知らない誰かが予備の鍵を持っているかもしれない」という不安がある場合、スペアキー作成時に「現在手元にある鍵以外、すべての登録を抹消する」という作業を依頼できます。これにより、紛失した鍵や前オーナーが持っていたかもしれない鍵を使ってエンジンをかけられる心配がなくなります。防犯性を高めたい場合は、作業員にその旨を伝えてデータの書き換えを依頼しましょう。
参考記事:イモビライザーキーとは?仕組みやスペアキー作成について解説
まとめ

イモビライザーのスペアキー作成は、現代の車社会において「万が一」に備える最も重要なリスク管理の一つです。かつてのシンプルな金属キーとは異なり、電子認証システムが組み込まれた現在の鍵は、紛失した際の代償が非常に大きく、時間も費用も多大に消費してしまいます。
本記事で解説してきた通り、イモビライザーのスペアキー作成には以下のポイントが重要となります。
- 作成は確実に可能:物理的なカットだけでなく、電子的なID登録が必要である。
- 費用と納期:1.5万円〜5万円程度が相場。ディーラーは時間がかかるが安心、鍵屋は高機能かつスピーディー。
- 全紛失のリスク:鍵をすべて失くしてからでは、費用が数十万円に跳ね上がることもある。
- 依頼時の準備:車検証や免許証など、所有者であることを証明する書類を揃えておく。
「まだ1本あるから大丈夫」という油断が、将来的な大きなトラブルに繋がることもあります。特に中古車を購入して鍵が1本しかない場合や、家族で車を共有している場合は、余裕がある今のうちにスペアキーを作成しておくことを強くおすすめします。
信頼できるディーラー、あるいは技術力の高い鍵専門店に相談し、安心できるカーライフを確保しましょう。


