イモビライザーキーでエンジンがかからない理由とは?原因や対処方法を解説します

イモビライザーでエンジンがかからない時の即効対処法

外出先や急いでいる時に、車のエンジンがかからないというトラブルは非常に焦るものです。特にイモビライザー搭載車の場合、従来の鍵とは異なり、システム上の認証が行われない限り、セルモーターすら回らない、あるいは始動してもすぐに停止するという挙動を示します。しかし、実際には「故障」ではなく、単純な操作ミスや電池切れが原因であるケースが非常に多いのが実情です。
まずは修理やロードサービスを呼ぶ前に、今すぐその場で試すべき4つのステップを詳しく解説します。
スマートキーの電池切れを確認!緊急始動のやり方
イモビライザーでエンジンがかからない最も一般的な原因は、スマートキー(電子キー)の電池切れです。スマートキーは常に微弱な電波を発信しており、車両側とその電波を照合(ID認証)することでエンジンの始動を許可しています。電池が消耗して電波が弱くなると、車両側が「正しい鍵が車内にない」と判断し、イモビライザー機能によって始動をブロックしてしまいます。
【電池切れ時の緊急始動手順】
電池が完全に切れていても、多くの車種には物理的な接触による「バックアップ始動」の仕組みが備わっています。
- メカニカルキーで解錠する
スマートキー本体に内蔵されている物理的な鍵(メカニカルキー)を抜き出し、ドアノブの鍵穴に差し込んで解錠します。この際、セキュリティアラームが鳴る場合がありますが、エンジンを始動させれば止まりますので落ち着いて作業してください。 - ブレーキをしっかり踏む
AT車(CVT車)の場合、ブレーキペダルが奥まで踏み込まれていることを確認します。 - スマートキーをエンジンスイッチに近づける
スマートキーの表面(メーカーロゴがある面など)を、エンジンのスタートボタンに直接触れさせます。こうすることで、スマートキー内の微弱な磁気情報をボタン側のアンテナが読み取り、電池がなくても一時的に認証を通すことが可能です。 - そのままスイッチを押す
キーをボタンに接触させた状態で、通常通りスタートボタンを押し込みます。
この方法は、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、ダイハツなど、主要な国産車メーカーの多くで共通の仕様となっています。もしこれでエンジンがかかるようであれば、原因は単純な「電池切れ」ですので、早急にボタン電池(一般的にはCR2032やCR1632など)を交換しましょう。
ハンドルロック(ステアリングロック)が解除されているかチェック

次に多いのが「ハンドルロック」が原因でエンジンスイッチが反応しないケースです。これは盗難防止機能の一種で、エンジンを切った状態でハンドルを一定以上回すと、ハンドルが固定されて動かなくなる仕組みです。この状態にあると、スマートキーの認証以前に、電気的なスタートスイッチやイグニッションキーが回らないよう制御がかかります。
【ハンドルロックの解除方法】
- ハンドルを左右に動かす
ハンドルがロックされている方向にさらに少し回しながら、同時にスタートボタンを押す(または鍵を回す)操作を行ってください。 - 無理に力を入れすぎない
無理やり回そうとすると鍵を傷める可能性があるため、カタカタと遊びを確認しながら、ロックが外れるポイントを探ります。
意外と盲点になりやすいポイントですが、駐車時にハンドルを切った状態でエンジンを切ると、次に乗る時にロックがかかりやすくなります。
シフトポジションが「P」に入っているか再確認
イモビライザー搭載車を含め、現代のオートマチック車には、誤発進防止のために「P(パーキング)」または「N(ニュートラル)」以外ではエンジンがかからない安全装置(インフィニタースイッチ等)が備わっています。
【チェックすべきポイント】
- セレクターレバーの位置
一見「P」に入っているように見えても、わずかにズレていたり、中途半端な位置で止まっているとセンサーが検知しません。一度レバーを動かし、カチッと確実に「P」へ入れ直してください。 - ブレーキペダルの踏み込み不足
最近の車は安全基準が厳しくなっており、ブレーキを「軽く置いている」程度では始動条件を満たさない場合があります。グッと奥まで踏み込みながら始動操作を行ってください。
ブレーキペダルの踏み込みが甘くないか確認
前述のシフトポジションに関連しますが、特にプッシュスタート式の車両において、ブレーキペダルの踏み込み不足は非常に多いトラブル要因です。
【なぜ踏み込みが硬くなるのか】
エンジンが停止している状態でブレーキを何度も踏むと、ブレーキの倍力装置(ブレーキブースター)内の負圧が失われ、ペダルが非常に硬くなります。この状態だと、自分では踏んでいるつもりでも、車両側が「始動に必要な踏力に達していない」と判断してしまうことがあります。
【対処法】
いつも以上に体重をかけて、強くブレーキペダルを押し込んでください。メーターパネルに「ブレーキを踏んで始動してください」という表示や、スタートボタンのランプが緑色に点灯するのを確認してからボタンを押すのがコツです。
始動できない時のチェックリストと優先順位
上記の4つのステップを試してもエンジンがかからない場合、イモビライザーシステムの基板故障、あるいは車載バッテリーの完全放電(バッテリー上がり)の可能性が高まります。
特に、スマートキーをボタンに近づけても全く反応がない、あるいはメーターパネルの「鍵マーク」が高速で点滅し続けている場合は、通信の暗号キーが車両側と一致しなくなっている(同期ズレ)か、車体側の受信アンテナの不具合が考えられます。
また、周囲に強力な電波塔がある場合や、スマートキーをスマートフォンのすぐ近くに置いている場合、電波干渉によって一時的に認証が阻害されることもあります。スマホとキーを引き離して再度試すだけでも、解決することがありますので覚えておいて損はありません。
参考記事:イモビライザー付車でエンジンがかからない場合の対処方法
なぜかからない?イモビライザーの仕組みと認証エラーの原因

車のエンジンがかからない原因がイモビライザーにあると分かったとき、多くのユーザーは「昨日まで普通に使えていたのになぜ?」という疑問を抱きます。従来の金属製の鍵(シリンダーキー)であれば、鍵の形さえ合えば物理的に回して始動できましたが、イモビライザーは目に見えない「電子的な照合」を行っているため、トラブルの正体が見えにくいのが特徴です。
ここでは、イモビライザーがどのようにしてエンジン始動を制御しているのか、その仕組みを紐解きながら、認証エラーが引き起こされる具体的な原因について徹底的に解説します。
IDコードの照合ミス:電子チップと車両コンピュータの関係
イモビライザー(Immobilizer)という言葉には「動かなくさせるもの」という意味があります。その心臓部は、鍵のヘッド部分やスマートキー内部に埋め込まれた「トランスポンダ」と呼ばれる極小の電子チップです。
【照合のプロセス】
- キーの差し込み・持ち込み:鍵をイグニッションに差し込む、あるいはスマートキーを車内に持ち込みます。
- 電波の送受信:車両側のアンテナ(イモビライザーアンテナ)から微弱な電波が発信され、キー内部のチップを起動させます。
- IDコードの送信:キー側のチップが、自分に割り当てられた「固有のIDコード」を車両側に返信します。
- ECUでの判定:車両のエンジンコントロールユニット(ECU)に登録されているコードと、送られてきたコードを瞬時に比較します。
- 始動許可または拒否:コードが一致すれば燃料噴射や点火を許可し、一致しなければ燃料供給をカットしてエンジンをかからなくします。
このプロセスにおいて、IDコードが何らかの理由で「不一致」と判定されるのが認証エラーです。例えば、車両のコンピュータが一時的にフリーズしたり、メモリ内のデータが不安定になったりすると、正しい鍵であっても「知らない鍵が来た」と誤認してしまうことがあります。
強い電磁波やノイズによる通信障害の影響
イモビライザーは非常に繊細な電波通信を行っています。そのため、周囲の環境や特定の持ち物によって通信が妨げられ、エンジンがかからなくなることがあります。これはシステム自体の故障ではなく、一時的な「電波干渉」によるものです。
【電磁波干渉を引き起こす代表的な例】
- スマートフォン・タブレット:スマートキーとスマートフォンを同じポケットやバッグに入れていると、スマホが発する強力な通信電波やノイズがイモビライザーの微弱な信号をかき消してしまうことがあります。
- 他の電子機器・ICカード:電子マネーカード(SuicaやPASMOなど)や、他の車のスマートキーと重ねて持っている場合も、相互干渉が起きやすくなります。
- 高圧電線やテレビ塔の近く:強力な電磁波が発生している場所では、車両の受信機がノイズを拾ってしまい、キーからの信号を正しく受け取れないことがあります。
- コインパーキングのフラップ板:一部の駐車場設備から発生する磁気が、車両のセンサーに干渉するケースも報告されています。
もし特定の場所や特定の持ち合わせの時にだけエンジンがかかりにくい場合は、これらの外部要因を疑ってみる必要があります。
スペアキー(非純正キー)による認証エラーの可能性
中古車を購入した際や、鍵を紛失して安価なスペアキーを作成した後にトラブルが起きるケースがあります。
【非純正キーのリスク】
- チップの品質不足:安価な非純正のイモビライザーチップは、温度変化や経年劣化に弱く、急に電波強度が落ちることがあります。
- データ書き換えの不備:鍵屋さんなどでデータをコピー(クローン)して作った鍵の場合、何らかのタイミングで車両側の「ローリングコード(毎回コードが変わる防犯システム)」との同期がズレてしまい、突然使えなくなることがあります。
- 金属の影響:キーの形状が純正と異なると、キーヘッド内のチップの位置がアンテナから遠くなり、接触不良に近い状態になることがあります。
特に、最近まで使えていたスペアキーが急に反応しなくなった場合は、チップ内部の電子的な破損を疑うのが妥当です。
参考記事:車の合鍵を作ったのにエンジンがかからない!その原因、実は…
車載バッテリーの電圧不足が引き起こすシステムダウン

「バッテリーは上がっていない(ライトはつく)のに、イモビライザーのせいでエンジンがかからない」という状況も頻繁に起こります。これは、バッテリーの電圧が「中途半端に低下している」状態(微弱放電)で顕著です。
【電圧不足とイモビライザーの関係】
車のコンピュータ(ECU)は、安定した電圧が供給されることで正常に動作します。しかし、バッテリーが弱って電圧が一定ラインを下回ると、エンジンを回す(セルを回す)力は残っていても、高度な計算を行うコンピュータが正常に立ち上がらず、IDコードの照合プロセスが途中でエラーを起こしてしまうのです。
この場合、メーターパネルに鍵マークが点灯したり、セキュリティランプが不規則な点滅を繰り返したりします。ジャンプスターターなどで電圧を補ってあげると、嘘のように認証が通り、エンジンが始動することも少なくありません。
イモビライザー認証エラーの主な原因と切り分け方法
具体的な解説:なぜ「一瞬だけかかる」ことがあるのか
イモビライザーのエラーで特徴的なのが、「エンジンは一瞬(1〜2秒)かかるが、すぐにストンと落ちる」という現象です。これは、点火システム自体は動いているものの、コンピュータがID不一致を確定させた瞬間に、安全装置として「燃料カット」を命令するためです。
この挙動は、イモビライザーが正常に「防犯」として機能している証拠でもあります。しかし、オーナーにとっては非常に厄介なトラブルです。このような場合は、電気的なリセットやキーの再登録が必要になるサインでもあります。
次のセクションでは、実際に自分の車で起きていることが「故障」なのか、それとも「一時的な不具合」なのかを判断するための、警告灯の見方について詳しく解説していきます。
故障を疑うべき症状とイモビライザーランプの見方

エンジンがかからない際、車が発している「サイン」を正しく読み取ることができれば、それが単純な操作ミスなのか、あるいはプロに依頼すべき深刻な故障なのかを判断できます。その最大のヒントとなるのが、メーターパネル周辺にある「セキュリティ表示灯(イモビライザーランプ)」です。
通常、このランプは防犯のためにエンジン停止中も点滅していますが、イグニッションをONにした際の動きには、システムの健康状態がダイレクトに反映されます。ここでは、ランプの挙動から読み取れる故障の予兆と、注意すべき症状について徹底的に深掘りします。
セキュリティ表示灯(インジケーター)の点滅・消灯パターン
多くの車種には、鍵の形をしたアイコンや、車の中に鍵が描かれたアイコン、あるいは「SECURITY」と文字が書かれたインジケーターランプが備わっています。このランプがどのような状態にあるかが、診断の第一歩となります。
【正常な場合の動作】
- 駐車中:盗難防止装置が作動していることを示すため、数秒おきにゆっくりと点滅しています。これは正常です。
- キー携帯での乗車:正しいスマートキーを持って車内に入ると、システムがキーを検知します。
- イグニッションON:スタートボタンを押す(または鍵を回す)と、IDの照合が完了し、インジケーターが消灯します。この状態であればエンジンは始動可能です。
【異常が疑われるパターン】
- 点滅が止まらない:ブレーキを踏んでスタートボタンを押そうとしても、ランプが点滅し続けている場合は、車両側がキーを認識できていません。
- 点灯しっぱなしになる:消灯せずに点灯し続けている場合、システム自体にエラーが発生しているか、通信ラインの断線などが疑われます。
- 全く点灯しない:エンジン停止中も点灯・点滅が一切ない場合、イモビライザーユニットへの電源供給が断たれているか、バッテリーが完全に上がっている可能性があります。
鍵マークの警告灯が消えない・異常に速く点滅する場合
特に注意が必要なのが、普段とは明らかに異なる「高速点滅」や「警告音(ピーピーという音)」を伴うケースです。これは、システムが「不正な始動試行」として拒絶反応を示している、あるいは内部データが破損しているサインです。
【高速点滅が意味すること】
通常よりも速いサイクルでランプがチカチカと動く場合、それは「IDコードの照合失敗」を意味します。
- 登録情報の消失:稀なケースですが、バッテリーの完全放電や電気的なノイズにより、車両側に登録されていたキーのデータが消えてしまう(リセットされる)ことがあります。
- アンテナコイルの故障:鍵穴の周りや車内に配置されている「受信アンテナ」が故障し、キーからの信号を正しく受け取れず、不完全なデータとして処理されている状態です。
このような状況では、何度試してもエンジンはかかりません。むしろ、何度も繰り返すと車両側が「盗難攻撃を受けている」と判断し、一定時間システムを完全ロック(フリーズ)させてしまう車種もあるため、無理な試行は禁物です。
エンジンは一瞬かかるがすぐに止まってしまう症状

「キュンキュンキュン、ブォン……ストン」と、始動した直後にエンジンが停止してしまう現象は、イモビライザー特有のトラブル症状です。これは「燃料カット」が機能していることを示しています。
【この症状が起きる理由】
現代の車は、始動の瞬間だけは最低限の燃料を噴射するようにプログラムされていることがありますが、その数ミリ秒後にECUが「IDコードの不一致」を最終確定させます。確定した瞬間、コンピュータはインジェクター(燃料噴射装置)の動作を停止させ、爆発を止めます。
【見分け方のポイント】
- ガス欠との違い:ガス欠の場合は、かかる気配すらないか、不規則な振動(ハンチング)を伴って止まります。イモビライザーの場合は、電気を切ったように「スパッ」とエンジンが止まるのが特徴です。
- 点火系の故障との違い:点火プラグやイグニッションコイルの故障であれば、初爆すら起きないことが多いですが、イモビライザーは「始動後の拒絶」という明確な挙動を見せます。
警告灯の状態別・原因と対処法一覧
注意:水没キーや落下による「内部破損」
物理的な鍵の破損も、警告灯の異常に直結します。
- 水没:スマートキーを洗濯してしまった、あるいは海に落とした場合、内部の基板がショートし、正しいIDを発信できなくなります。外見が乾いていても、内部の腐食が進行していると、警告灯は「キーなし」の判定を出し続けます。
- 衝撃:鍵をコンクリートに激しく落とした衝撃で、内部のトランスポンダ(チップ)が割れたり、基板から剥がれたりすることがあります。
もし「鍵を落とした直後からランプの様子がおかしい」という明確なきっかけがある場合は、基板の物理故障として、スペアキーの使用または新規作成を検討すべき段階です。
次のセクションでは、自分ではどうにもならないと判断した際、どこに依頼すべきか、そして気になる「修理費用」の相場について、ディーラーと専門業者の比較を交えて詳しく解説します。
参考記事:イモビライザー機能付きのリモコンキーが電池がなくなった場合、エンジンはかけられますか?|SUBARU
修理・交換が必要な場合の費用相場と依頼先

自力での対処法を試してもエンジンがかからず、警告灯の異常も解消されない場合、システムの物理的な故障やデータの破損が確定したと言えます。ここで多くのユーザーが悩むのが、「どこに修理を頼めばいいのか」そして「一体いくらかかるのか」という点です。
イモビライザーは高度な防犯システムであるため、一般的な整備工場では対応できないケースが多く、主に「正規ディーラー」か「イモビライザー対応の鍵専門業者」の二択となります。それぞれのメリット・デメリットと費用相場を詳しく見ていきましょう。
ディーラーに依頼する場合のメリットと費用目安
最も確実で安心感があるのが、その車のメーカーの正規ディーラーに依頼する方法です。
【ディーラー依頼の特徴】
- 信頼性:メーカー純正の診断機を使用し、正確な故障箇所(キーの不具合なのか、車両側ECUの故障なのか)を特定できます。
- 部品の質:交換が必要な場合、必ず新品の純正部品が使用されます。
- 対応範囲:キーの再登録だけでなく、コンピュータ本体(ECU)の交換など、大規模な修理にも完全対応しています。
【費用の目安】
ディーラーでの作業は、基本的に「部品代+技術料(工賃)」の合算となります。
- スマートキーの追加登録:約20,000円〜40,000円
- キー紛失による全登録し直し:約30,000円〜60,000円
- ECU(コンピュータ)の交換が必要な場合:約100,000円〜300,000円(車種による)
【注意点:レッカー移動と納期】
ディーラー依頼の最大の難点は、「車を店舗まで持ち込む必要がある」点です。エンジンがかからない以上、レッカー移動が必須となり、その費用も考慮しなければなりません。また、キーの在庫がない場合は取り寄せに数日から1週間程度かかることも珍しくありません。
鍵の専門業者(ロードサービス)に依頼する場合のスピードと料金
「今すぐ車を動かしたい」「レッカー費用をかけたくない」という場合に有力な選択肢となるのが、現場まで駆けつけてくれる鍵の専門業者です。
【専門業者依頼の特徴】
- 即日対応:現場に急行し、その場でキーの作成やIDの書き換えを行ってくれるため、そのまま車に乗って帰ることができます。
- レッカー不要:現場作業が基本のため、レッカー代がかかりません。
- 特殊な技術:ディーラーでは「コンピュータ一式交換」と言われるようなケースでも、業者の場合は既存のコンピュータのデータを直接書き換えることで、費用を抑えて復旧させられる場合があります。
【費用の目安】
業者の料金は、出張料、技術料、部材費が含まれます。
- 現場でのイモビライザーキー作成・登録:約30,000円〜80,000円
- 夜間・早朝や遠方の出張費:プラス5,000円〜15,000円程度
【注意点:業者選びの重要性】
イモビライザーは非常に特殊な技術を要するため、すべての鍵屋が対応できるわけではありません。「イモビライザー対応」を明記している業者を選ぶ必要があります。また、料金体系が不透明な業者も存在するため、必ず事前に総額の見積もりを取ることが重要です。
イモビライザー再設定・ECU交換にかかる具体的なコスト

さらに踏み込んで、具体的なトラブルケースごとのコスト構造を整理します。
【ケースA:スマートキー自体の故障】
キーを落とした、水に濡らしたなどで、キー内部の基板が死んでいる場合です。
この場合、新しいキーを取り寄せ、車両のコンピュータにその新しいIDを認識させる「登録作業」が必要です。
- 合計:約2.5万円〜5万円
【ケースB:車両側アンテナやユニットの故障】
キーは正常なのに、車側の受信機(イモビライザーアンテナ)や認証ユニットが故障している場合です。
これは「修理」の範疇となり、部品交換が発生します。
- 合計:約5万円〜15万円
【ケースC:コンピュータ(ECU)の盗難対策ロック】
不正な始動を繰り返した結果、ECUが完全にロックされてしまった場合です。車種によってはECUを新品に交換しなければならないという最悪のシナリオもあり得ます。
- 合計:約15万円〜30万円以上
ディーラーと鍵専門業者の比較
依頼先を選ぶ際の判断基準
どちらに依頼すべきかは、「緊急性」と「コストの許容範囲」で決まります。
- ディーラーがおすすめの人
- 時間に余裕があり、レッカー移動が可能な場合
- メーカー保証の期間内である場合
- 純正の新品部品にこだわりたい場合
- 鍵の専門業者がおすすめの人
- 仕事や旅行先で、今すぐ車を動かす必要がある場合
- レッカーの手配が困難な場所(狭い駐車場や山道など)にいる場合
- ディーラーで「コンピュータ交換で高額になる」と言われ、安く抑えたい場合
いずれにせよ、イモビライザー関連のトラブルは放置して直るものではありません。現在の警告灯の状態や、いつから症状が出たのかを正確に伝え、まずは電話で概算見積もりを取ることから始めましょう。
参考記事:作った合鍵でエンジンがかからない!イモビライザーとは?
イモビライザーのトラブルに関するよくある質問

イモビライザーは目に見えない電子的な防犯システムであるため、トラブルに直面すると「なぜ?」という疑問が多く湧いてきます。ここでは、現場や相談窓口で特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q:昨日まで普通に使えていたのに、突然壊れることはありますか?
A:はい、十分にあり得ます。
特にスマートキーの電池切れは予兆なく訪れることがあります。また、車載バッテリーの電圧が「始動に必要な限界値」をわずかに下回った瞬間、システムはエラーを吐き出します。電気製品である以上、内部基板の寿命やはんだ剥がれによる突発的な故障も珍しくありません。
Q:スペアキーならエンジンがかかる場合、何が原因ですか?
A:メインキー側の電池切れ、またはキー内部のチップ(トランスポンダ)の故障です。
スペアキーで始動できるのであれば、車両側のコンピュータやアンテナは正常です。動かない方のキーを水没させたり、強い衝撃を与えたりしていなかったか確認してください。もし電池交換をしても直らない場合は、キー単体の故障として新調する必要があります。
Q:中古のスマートキー(ヤフオク等)を買って自分で登録できますか?
A:一般の方には非常に困難です。
車種によっては特殊なコマンド操作で登録できるものもありますが、現代のイモビライザーは専用の診断機(テスター)を車両のOBD2ポートに接続して書き換える必要があります。また、中古キーは既に別の車両のIDが書き込まれている「ロック状態」であることが多く、これを初期化(リセット)するにも専門の機材が必要です。
Q:ガソリンスタンドやカー用品店で修理できますか?
A:電池交換は可能ですが、システム修理は基本的に不可能です。
カー用品店等で対応できるのは、キーの電池交換や、バッテリー自体の交換までです。イモビライザーのID再登録やECUの診断には、各メーカー専用の診断機が必要となるため、ディーラーか、イモビライザー対応を謳う鍵専門業者に依頼するのが一般的です。
Q:バッテリーを外して放置すればリセットされますか?
A:一時的なエラー(フリーズ)であれば解消する可能性があります。
コンピュータの軽微な誤作動であれば、バッテリーのマイナス端子を10分ほど外して放電させることでリセットされ、復旧することがあります。ただし、IDコード自体が消えている場合や物理的な故障がある場合は、この方法では直りません。
よくある症状と原因の簡易マトリクス
参考記事:【5秒で解決】イモビライザー警告灯の点滅/点灯を解除する簡単な方法とは!?また、点灯の意味は何か、エンジンがかからないときはどうすれば良いのかも解説!
冷静に原因を切り分けてスムーズな解決を

イモビライザー搭載車でエンジンがかからないという事態は、ドライバーにとって非常にストレスフルな経験です。しかし、本記事で解説した通り、その原因の多くは「正しい知識があればその場で対処できるもの」か、「適切なプロに依頼すれば解決できるもの」のどちらかです。
記事の要点振り返り
- まずは基本動作を確認:スマートキーをボタンに直接当てる、ハンドルロックを解除する、ブレーキを強く踏むといった基本動作で、8割のトラブルは解決します。
- 警告灯に注目:メーターパネルの「鍵マーク」の動きを見れば、システムが正常か異常かを判断できます。
- 原因の切り分け:電池切れ、電波干渉、バッテリー上がり、そしてシステム故障。どれに該当するかを一つずつ消去法で特定しましょう。
- 依頼先の選択:安心感と確実性を求めるならディーラーへ。緊急性とコストパフォーマンスを重視するなら、現場急行型の鍵専門業者へ相談するのがベストです。
イモビライザーは、あなたの愛車を盗難から守るための非常に強力な味方です。その仕組みを理解し、いざという時の対処法を知っておくことで、突然のトラブルにも慌てずに対処できるようになります。


